2018年11月22日木曜日

リスクマネジメントにおけるデータ分析と人工知能


 

株式会社ヨシダ・アンド・カンパニー では、以下のセミナーを実施いたしました。非常に最新の情報が盛りだくさんです。資料に関心のある方は、以下の「お申込み」のリンクから、パワーポイントプレゼンとビデオ録画を購入ください。 

また、このテーマでのコンサルティングを受けたい企業様は、080-4339-4650までご連絡ください。
 
 
【日時】11月12日(月)18:00 【会場】アルカディア市ヶ谷
               詳細はこちらをご覧ください。
講師】MAHIDHARA DAVANGERE V.
図1

【講師略歴】
MahidharaはPramartha社(インド・バンガロールに拠点を置くアクチュアリアル・リスク・マネジメントおよびコンサルティングファーム。マレーシア、南アフリカ、UAE、米国にもオフィスを構える)の創業者で、取締役を務めています。データサイエンス、ファイナンス分析、投資といった幅広いアクチュアリアルサイエンスに焦点を当てています。様々なアクチュアリアルリスクモデルを用いて、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家に向けて出口戦略提案を行ってきました。また、IAA時代からビッグデータワーキンググループの一員です。Finance and Investment Board, Institute and Faculty of Actuaries (IFoA), Secretary of Actuarial Consulting Congress of Asia (ACCA) といった幅広い分野でグローバル戦略委員会の議長を務めました。
当セミナーでは資料の販売も行っておりますので是非お買い求めください。
【資料価格】
パワーポイント資料 5,000円(
税込)
ビデオ資料 15,000円(税込)

【お申込み】
こちらよりお申し込みください。


【セミナー概要】
データ分析と人工知能はあらゆるビジネスに影響を与えつつあります。アクチュアリーは保険・年金産業の価値を高めてきた「データサイエンティスト」として古くから知られています。本セミナーではデータサイエンスや人工知能を用いて、特にリスクマネジメントに関する実生活におけるいくつかの事例に焦点を当てます。新時代の技術そのものはただの道具ですが、アクチュアリアルな概念と合わせることで、ビジネスにおいて計り知れない価値を持ち得ます。アクチュアリアルな知識を人工知能やディープラーニング、その他の新時代の技術などを通して幅広い分野のものと統合する仕組みは探求に値します。新技術の登場によって、アクチュアリーの未来はどのようになるのか、また、天体物理学、生物科学、気候変動、そして銀行や保険などの金融サービスなどあらゆる分野に応用されうるディープラーニングなどの学習の未来はどのようなものになるのか、といったことについて説明していきます。アクチュアリーに対して「ビジネスサイエンティスト」という新語を与えた専門家をお迎えしての、新たな国際事業機会を探求するチャンスです。この機会をお見逃しなく。

2018年11月15日木曜日

モデル化までの過程(2)



 

2018年11月15日

本記事は、American Academy of Actuariesの雑誌Contingenciesに記載されている記事「Model Behavior—How a modern modeler can add value and drive effective business decisions」の翻訳である。この記事は4回に分けての配信予定であり、その第2回である今回は、「Embrace the Black Box」の1節について配信する。

ブラックボックスを受け入れる

  難解なモデル化の問題に直面した時、ブラックボックスは便利な言い訳として使われるが、それはよくないことである。過去数十年に渡り、主に計算をコントロールする能力の為に、保険会社の間でいわゆる保険数理用のブラックボックス化しているソフトウェアが使用される場合が多くなっている。この種のコントロールは内部企業モデル化基準、全米保険監督官協会(National Association of Insurance Commissioners)のモデル規制、SOX法(Sarbanes-Oxley)下で発展した監査要件に準拠するためにとりわけ役に立つ。ブラックボックス化しているソフトウェアが柔軟性と透明性を増している一方で、ほとんどの計算は未だ、エンドユーザーにとって未知なままである。多くのモデラーが、この未知さのせいで革新的になれないと言うが、実際にはブラックボックス化しているソフトウェアは大変強力なのである。問題を解く鍵は、組み込まれた機能を活用する際に創造的になることなのである。

ソフトウェアはユーザーの要求に応じてよりカスタマイズできるようになっているのだから、ユーザーは利用できる全ての機能を理解する必要がある。

 何よりもまず、ソフトウェアに対する入力と何の計算をしているかを理解することが重要であり、ソフトウェア開発者が作成した説明書にこの情報がよく書かれている。ブラックボックス化された計算が何を行っているのか理解することが難しいときはブラックボックス化していないソフトウェア(例えば、エクセルなど)で計算の再現を行うことから始めるといいだろう。計算が複雑すぎて容易に再現できないときは、統制されたテストをすることで手がかりを得ることができる。つまり、入力値を一つだけ独立に変えていき、出力値の変化を見る方法である。どのように予想していた値とソフトウェアによる出力値とが異なったかが、なぜ計算が予想と異なる振る舞いを見せるのかという事に対してヒントを与えてくれる。例えば、「重要な入力値を変更したにもかかわらず、出力値に何の変化もない」という結果を得たとき、実は入力値は使われていないということかもしれない」ということが真っ先に思いつく。つまり、スイッチやモデルの入力値の配置が間違っているなどの単純なミスがある可能性を意味している。疑問に思うときは開発者に連絡を取ることがソフトウェアの機能に関する単純な質問に対する答えを得る迅速な方法になりうる。

 より良いモデル化のためには、まずソフトウェア全体をよく理解することだ。ソフトウェア開発者は絶え間なくモデル化ソフトウェアを改良しているため、ユーザーは時間がある時にトレーニング・セッションに参加し、常に新機能リリースの情報を入手し、ソフトウェアを最新のバージョンに保つ必要がある。ソフトウェアはユーザーの要求に応じてよりカスタマイズできるようになっているので、ユーザーは利用できる全ての機能を理解することも重要である。ひとたびモデラーがソフトウェア全体を十分に把握すれば、革新的なモデル化の「ソリューション」を得る秘訣はクリエイティブとなることである。ユーザーの創造性以外、モデルの創造性の制限はほとんどない。

しかしながら、「ソリューション」が創造的であっても、その「ソリューション」の有効性を十分吟味し、適用可能なすべてのモデル化基準−特に、保険数理基準審査会(Actuarial Standards Board (ASB))によって発布された保険数理実務基準(actuarial standards of practice (ASOPs))−に準拠していることを確認することも重要である。ASBは現在、全実務範囲に対応するモデル化におけるASOPの第四版公開草案を立案している。ASOPに拘束力があるわけではないが、アクチュアリーは公開された草案を再吟味したいと思っており、この新たなASOPの開発と並行してモデルを開発する必要がでてくる。

ブラックボックス化しているソフトウェアの一般的な創造的な最適解の中には、プロセスの自動化やプログラムによって既に定義されている機能の適応外使用(off-label use)などがある。プロセスの自動化にはソフトウェア内および・またはソフトウェア外のいくつかの小さいプロセスを統合することが含まれる。例えば、モデルからの情報はエクセルにエクスポートすることができる。

ここから、オープンソースのプログラミング言語が出力値を得るための操作に使われ、そしてその出力値は利用可能な形でモデル化ソフトにフィードバックされる。ここから認識されるトレードオフは柔軟性と制御性である。次に、既に定義された機能の適応外使用(off-label use)に関しては、レベレッジされる機能を完全に理解することが重要である。大変特殊な目的のためにブラックボックス化しているソフトウェアに機能が追加されることがあるが、必ずしもその機能が他の目的の役に立たないというわけではない。もしある機能が、何の基本的な問題に焦点を当てているかを理解できたなら、その「ソリューション」は同じ原因や構造を根源にもつ他の問題に適応することができる。


次回は、「Model Behavior—How a modern modeler can add value and drive effective business decisions」の第3回を配信予定である。


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