2009年4月12日日曜日
公認会計士協会にてMCEVについて発表
3月30日に開催された公認会計士協会の保険会計研究会で,ヨーロッパのCFO Forumが昨年6月に発表した市場整合的エンベッディド・バリューMarket Consistent Embedded Value)について、2時間ほど100ページ程のプレゼン資料の発表を行った。保険IFRS Phsase2やSolvency IIの手法と類似している点も多数あり、皆さん大変興味をもたれたようである。金融庁の方からその場でいただいた質問は、ユニットリンクに関する話で、なぜ従来のEVに比べてよい結果がでてくるのかという鋭い質問であった。海外に照会したら、次のような回答が帰ってきて報告させていただいた。
Unit linked contracts tend to look good under MCEV as the removal of a risk adjusted discount rate being replaced with a risk free rate tends to be greater than the non hedgeable risk allowance added back in. This happens as the risk adjusted discount rate makes an average allowance for risk across all contracts and UL tends to be lower risk so under this method bears more risk allowance than necessary. However under MCEV using a risk free and a separate allowance for risk will tend to increase the value.
つまり、従前は、全商品共通のrisk adjusted discount rate でリスクへのアローワンスをしていたが、MCEVになって、non hedgeable risk allowance で対応することになり、相対的にリスクの低いユニットリンク商品が、MCEVでは公平に評価されて価値も高くなったもようである。
今後商品政策にも影響を与えていくことになろうと思う。
また、監査法人との関係で言えば、現状では、わが国ではMCEV(EV)は監査の対象になっていない。
一方で、保険会社のホームページにおいて、EVは投資家やアナリスト等に公開されている。
MCEV(EV)の計算の方法と正確性に関する保証は、新しいMCEV原則で必須要件となったが、現状はアクチュアリー・コンサルティング会社によって意見書が付されている。一方、欧州では監査法人が意見を付与よる場合が増えていると聞く。IFRS PhaseII とMCEVが、類似の計算手法と共通のインフラを使用することが高い確度で予想される。(Economic CapitalやESG)。このような状況を勘案すると、日本の監査法人においても、当局との連携のもとにMCEVを監査(アシュアランス)業務の対象とするなど、近い将来に実施することになるIFRS保険負債の監査に十分な品質で取り組めるテクニカル基盤の準備を進めておく必要があると思われる。
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